1993年: 大規模病院における依頼から会計レポートまでを連携したRIS(Radiological Information System)の開発と臨床応用:-近藤博史(当時阪大)
次の機能を搭載する大規模RISの構築に最初に成功し、HIS-RIS-PACS連携運用の基盤を築いた。
- 検査依頼、検査予約から医事会計、レポートシステム、PACSの連携を構築した。
1-1.検査依頼の電子化により臨床診断、病歴、検査目的、搬送方法、障害の有無、アレルギー、腎障害の有無等の入力を包含した。
1-2.放射線予約では、緊急、至急、オープン予約、クローズ予約の概念を最初に導入。緊急は直ぐに検査可能な依頼、至急は近日中の依頼、1-3.オープン予約とクローズ予約の概念は次の通りである。
オープン予約とは予約枠を外来、病棟に公開し、主治医が患者と相談の上に検査予約枠に患者を設定するものである。クローズ予約とは予約枠を放射線部内で入力できないもので、放射線科医が依頼内容を見て予約枠に入れるもので予約枠が決まれば、外来、病棟で参照可能になるものである。
- RIS端末からの参照項目は検査予約から検査依頼内容、過去の検査依頼、読影レポート等である。同時に患者毎にコメント欄を設定でき、放射線部内で伝達すべき情報(体位変換時の疼痛等)を保存参照できる機能を有した。
- 医事会計のオンライン化は一般撮影、超音波検査、CT、MRI、胃、大腸等の透視系で実現した。医事請求する項目が検査室で変化する血管造影、IVR、核医学検査ではオンライン化ができず、伝票の患者氏名印字あるいは医事端末を核学検査受付に設置し、直接入力とした。
- 患者の検査待ち時間の激減は下記の機能により実現した。
4-1. 1800項目のオーダ項目と患者の年齢から検査室を自動で割振る機能
4-2. 9室あるX線撮影装置の撮影条件設定、X線管選択を自動化する機能、および患者番号案内電子掲示板との連動機能。これにより一般撮影の専門でない技師も業務が行えるようになり放射線部の業務が効率化できた。
- レポート作成時に放射線科医個人別/グループ別の辞書機能、文書保管機能、テンプレートのあるreport system機能
- 保存レポートの全文検索機能 (これのみ翌年の1994年から)年間5万件、10年で50万件のレポートから任意の単語、任意の複数単語を含むレポートを数秒で検索できるシステムを構築し、臨床研究によく使用された。
- このHIS-RIS-PACS連携運用は更に改良が施され、7年後の2000年から各病棟/各外来のネットワーク毎に画像プリフェッチ用にWindowsサーバを配置し、画像参照時間を短縮した。近年NAS (Network
Attached Server)類似の機能である。
以上のようにHIS-RIS-PACS連携開発運用が当たり前として全国に普及せしめた功績は大きい。
□阪大病院新HIS-RIS-PACSシステム運用の概略ブロックダイアグラム
□RIS, FCR と X線コントローラ接続と自動設定(阪大病院新システム)
□新システム導入による業務フローの改良(阪大病院)
□新システム導入による待ち時間短縮(阪大病院新システム)
□RISの電子化前後の写真(阪大病院)
□阪大病院の電子化されたレポートシステムにおけるレポートの例
□全文検索システムの開発(阪大病院新システム)
□阪大病院HIS-RIS-PACSシステム構成
□阪大病院新RIS業務体系とデータベース
□阪大病院HIS-RIS-PACSシステム業務概略リスト
□パソコン利用PC-PACSシステム構成(阪大病院)
□阪大病院HIS-RIS-PACSシステムに用いられたパソコン仕様
□阪大病院HIS-RIS-PACSシステムに用いられたワークステーション仕様
□阪大PACS端末とRIS-HIS端末
□阪大PACS, RIS-HIS運用風景
□阪大PACS, RIS-HIS外来診察室のHIS端末
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